Whyフレッチャー?その2。ロースクールとの比較を通じて
- fletcherjapanstude
- 2019年3月16日
- 読了時間: 5分
更新日:2023年6月7日
こんにちは、MALDのSです。先日のMさんによる「Whyフレッチャー?他のポリシースクール、MBAとの比較も交えつつ。」に加え、私からはいわゆる「Law MALD」の一員としてフレッチャースクールで国際法を学ぶということについてメリットデメリットを検討してみたいと思います。ロースクールとの比較を通じてとタイトルには書いたものの、私自身はロースクールに通った経験はないため、一部伝聞や推測ベースの内容となる旨ご承知おきください。事実誤認等ございましたらご指摘いただけるとありがたいです。

私の法律学習歴は大学の学部で4年間、また、職歴としてその後4年強の勤務経験の際にいくつか触れたことがあるというレベルです(合格体験記はこちら)。全くの初学者の方や、逆に法曹として法を専門により長い学習歴・職歴をお持ちの方とはやや視点が異なるとかもしれませんが、その点もあくまでも個人の体験談、ご参考くらいに思っていただければと思います。
はじめに、この「Law MALD」なる概念について簡単にご紹介します。どうも具体的な定義があるわけではなさそうなのですが、親しくさせていただいているL.L.Mプログラムのスタッフの方に「ああ、君はLLMではなくLaw MALDなのね」と言われて以降、私はこのアイデンティティを持つようになりました。イメージとしては、MALDの中で法律系の授業を多めに取った結果、L.L.Mプログラムの学生も含めて少人数の授業でよく顔を合わせ、同じ重いリーディングとインテンシブなディスカッションをやりきった仲間同士で親近感を感じてきたくらい、というと青春感があっていいかもしれません。なお、MAやMIBでも関心と時間割が許す範囲で法律系の授業を多く取ることは可能だとは思いますが、私の周りには見たことがないので、とりあえずこれらのプログラムの学生も一括してLaw MALDと呼称しておきます。
では、このLaw MALDであることや、一年制のプログラムであるL.L.Mの学生であることを想定した場合、フレッチャーの強みは何でしょうか?私としては、法が現実の世界においてどのように位置付けられるのか、現実が法に及ぼす影響と、逆に法が現実を変える力とを常に考えることができたという点に最大の価値があったと思います。ある法律系の授業において、教授が話していた内容として非常に印象に残っているのが、「ロースクールにおいては、法の内容だけでなく、いかにしてそれを実現を担保するかという点に大きな時間を割いている。しかし君たちはそういった内容については法以外の授業で習っているので、この授業においてそこまでの時間を割くことはしない」というものです。実際のところ、法がただの紙切れや詩か小説以上の特別の価値を有しているのは、その内容について関係者(の少なくとも多く)が合意しているからであり、その結果としてそれが実現されるからだと考えれば、あえて国際関係大学院で法を学ぶということのメリットをご理解いただけるでしょうか。
現在鋭意執筆中のCapstoneについても、国際公法をテーマとしつつ、多くのページ数を政治系の授業で学んだ内容の応用に割いています。これは、なぜその議論が必要なのか、法の議論をする土台としてどのような背景があるのかということを考慮するには、政治系の視野からの学びが有益だからだということだと私は理解しています。まだまだ未完成なのでもう少し頑張らなければならないのですが、このプロセスを通じて、フレッチャースクールで学ぶことのメリットを改めて実感させてくれました。
もちろん、いいことばかりではありません。フレッチャースクールの場合、確かに法の授業は充実しているものの、基本的に国際公法・国際私法で、一部国際関係に関連する憲法の授業が開講されているくらいであるため、分野としては偏りがあります。あくまでも国際関係大学院なので、当然といえば当然でしょうか。また、これは短所というよりももはや「そういうもの」としか言いようがないのですが、MALDだろうがL.L.Mだろうが、これらのプログラムを卒業しても、履修した法律科目の数に関わらずアメリカの司法試験の受験資格は得られません。アメリカで弁護士資格を取りたければ、残念ながら他を当たっていただいた方がよいでしょう。
しかし、だからといってフレッチャースクールの国際法のレベルは他のロースクールに決して引けをとるものではないと思います。昨年秋からこの2月まで、私はJessup International Law Moot Court Competitionという国際法の模擬裁判の大会でフレッチャースクールのチームのコーチの一員を務めていました。この大会は、世界規模の模擬裁判の大会で、アメリカの中では基本的にはロースクールが中心となっており、学校によってはかなりの労力をこの大会に費やすこともあると聞きます。そんな中、我々は前回の出場から数年のブランクがあって何から始めればよいかもわからず、チームのスタートは遅く、人数はギリギリ、コーチの一人(私)はノンネイティブで英語が上手ではない、しかもロースクールでない学校という何重ものハンデを背負い、前述のL.L.Mのスタッフの方には何度も心配をかけながらも、地区大会の決勝トーナメントまで駒を進めることができました。世界大会にこそ進むことこそできませんでしたが、実際に世界大会への進出を決めた名門ロースクールのチームとも、特に法の知識・理解の観点では互角かそれ以上の戦いを繰り広げることができたのは本当に誇らしく思います。もちろん模擬裁判は模擬裁判、法律学習は法律学習ということで単純に割り切れるものではありませんが、Fletcher School of "Law" and Diplomacyの名に違わず、この法教育のレベルの高さを示すことができたのではないでしょうか。
実際にロースクールとの進学を迷われているという方がどれだけいるのか、一部私もよくわからないまま書き上げた感じではありますが、あえてフレッチャースクールにおいて多様な面から法を学ぶというのも、一つの選択肢としていただければと思い綴ってみました。進路選択において何かのご参考になれば幸いです。
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