Careers
Career Development in the Fletcher School
フレッチャースクールにおけるキャリア発展の機会について、日本人在校生の立場からお伝えします。
概要
実務家の育成に焦点を当てたフレッチャースクールでは、フレッチャースクール卒業後のキャリアをより充実したものにするためにCareer Development/Professional Developmentと呼ばれる活動がカリキュラムにビルトインされています。Office of Career Serviceが主催するPDP(Professional Development Program)やCareer Tripがこれにあたります。また、毎年秋に開催されるボストンキャリアフォーラムに代表されるように、ボストンの地を生かした活動の機会も豊富に用意されています。このページでは、日本人学生のキャリア形成という観点から、フレッチャーでの学生生活をご紹介します。
Professional
Development
Program
Professional Development Program(PDP)は、フレッチャースクールのキャリアセンターであるOffice of Career Serviceによって新入生の秋学期に行われる必修講座です。
レジュメの作り方・カバーレターの書き方・インタビュー対策など、米国での就職に必須となるポイントをカバーしています。日本人学生にとっても、アメリカ人のキャリア形成に対する基本的な姿勢を肌で実感し、要点を抑えられる効率的なプログラムです。
Office of Career Serviceは大変フレンドリーで、プログラムを履修後には個別面談でレジュメの添削やカバーレターの作成も相談に乗ってくれるため、Waive(免除)せずに受講をお勧めします。
Career Trip
フレッチャーでは、ニューヨークとワシントンDCで年に一度ずつ、キャリアトリップというイベン
トが開催されます。これは、ボストンという就活には若干不利な地理にあるフレッチャーの弱みを
補うため、Office of Career Serviceが企画し、少人数での説明会や卒業生とのネットワーキングの
機会を提供するというものです。大学側からその地にいる卒業生のリストも提供されるため
、LinkedIn等を利用し自分でアポを取っている学生もいました。
二日間に渡って行われるDCキャリアトリップでは、官公庁(国務省、国防省、USAID等)や、国際
機関(世界銀行、UNHCR等)、国際企業(フェイスブック、ボーイング等)、シンクタンク
(CSIS、CFR、ブルッキングス研究所等)、その他著名NGOが多数説明会を開催しました。フレッチャーの卒業生が対応していることが多く、日本の就職説明会と違い、先輩にキャリアを相談するための場といったカジュアルな雰囲気です。また、初日の夜には、大勢の卒業生が集まる大規模なパーティーが開催され、人脈を作る機会が提供されました。
私自身は、その年の夏にDCのシンクタンクでインターンをすることを希望していたため、今回のキ
ャリアトリップはそのための情報収集、人脈作りを目的としていました。“フレッチャーマフィア”
と評されるように、フレッチャー卒業生の結束の強さは有名ですが、実際に卒業生の方たちは大変
協力的で、シンクタンクでアジア関連のインターンを希望していることを伝えると、知り合いのア
ジア専門家を何人も紹介していただくことができました。私は、日本専門の部署ではなく、その他
アジアに関して広く扱う部署でのインターンを希望しており、日本語以外のアジアの言語は話せな
いため苦戦することを予想していましたが、卒業生から紹介を受けたアジア専門家の方に相談した
ことによって、希望通り著名なシンクタンクで、インド・パキスタンや北朝鮮、G20等の課題を扱
うインターンの機会を得ることができました。このように、目的意識をもって自分から求めていく
と、それに応えてくれる環境が用意されているのが、フレッチャーの強みであると思います。
(Class of 2018 S.S.)
資格試験
(CFA合格体験記)
米国留学という「地の利」と「時の利」を生かし、国際的な資格を取ることは非常に強力なオプションです。以下、日本人在校生からCFA(CFA協会認定証券アナリスト)の合格体験記を寄稿していただきました。
1.プロフィール
30代、男、公務員 CFA試験レベル1合格(2017年1月)
2.概要
CFA (Chartered Financial Analyst) プログラムは、CFA協会が主催する金融分野におけるプロフェッショナル養成・認定プログラムであり、Level1からLevel3の3段階のペーパー試験への合格と、4年以上の投資分野の実務経験によりCFA資格保有者として認定されます。金融分野の国際資格として
高く評価されており、日本での資格保有者は主に投資銀行、証券会社、保険会社に多く所属してい
ます。
3.受験動機
金融や投資業務の直接的なバックグラウンドはありませんでしたが、①留学中に達成する目標を明
確化したかったこと、②経済・金融分野への関心が強かったこと、③日本で証券アナリストの資格
を取得しており、上位資格に興味があったこと、などの理由から受験を決意しました。
4.試験構成
Level 1試験は6月、12月の年2回、Level 2及びLevel 3は6月の年1回試験が行われます。試験範囲
は、職業倫理、計量分析手法、経済、財務報告および分析、コーポレート・ファイナンス、株式、
債券、デリバティブ、オルタナティブ投資、ポートフォリオマネジメントの10分野であり、レベ
ルにより各分野の出題割合が異なります。各レベルの試験は、午前3時間、午後3時間の2部構成
となっており、Level 1及びLevel 2は3択のマークシート式、Level 3は論述式です。成績上位者
10%の平均得点の70%が合格最低点といわれており、Level 1、Level 2の合格率は40%強
、Level 3は50%強です。
5.勉強方法
プログラム申し込み時にCFA協会のテキストが配布(eBookは登録費用に包含。印刷版は別途追加
費用が必要。)されますが、受験者の多くは民間の予備校を利用しているとのことでしたので
、CFA受験者の間では有名なSchweserのEssential Self Study Packageを同時に申し込みました。これはオンラインの通信教育で、Schweserオリジナルのテキストのほか、QBankという問題演習サービスへのアクセス、6回のフル模擬試験、レビューシート等が含まれます。
8月の中旬に申し込み、試験が12月上旬とただでさえ準備期間が短かったことに加え、学校の授
業や課外活動で忙しかったため、基本的にテキストはほとんど読まず、ひたすらQBankの練習問題
を解き、解説を読んでもわからない部分だけ教科書を読むようにしました。問題は約4400問程
度あるため、ひととおり解くだけでもかなりの時間がかかります。結局復習も含めて3300問程
度しか取り組めず、模擬試験には全く手を付けていないというかなりチャレンジングな状況で本番
を迎えました。
6.アドバイス
資格取得には、CFA協会に支払いが必要な試験登録費用だけでも、レベルごとに約10万円程度が
必要(時期によって変動)であり、予備校もひととおりのサービスを受けるにはやはりレベルごと
に10万円前後必要なため、ストレートに合格しても30~60万円程度の資金が必要となります
。不合格になれば、追加の試験登録に更に10万円かかることとなり、資格試験の中でもかなり高
額な部類であることには間違いありません。見かけの合格率は高いですが、高額な試験料を支払っ
ているためきちんと準備をしている受験者が多く、また、レベル2以降は前のレベルの合格者間で
の合格率であるため、例えばレベル2にストレートに合格する確率は、単純に計算しても
45%×45%≒20%となり、試験が英語で行われることも考えると相応の努力が必要となります
。試験をパスするには、一般に各レベル300時間程度の勉強が必要と言われていますので、勉強
開始から本番までにきちんと時間を確保できるよう計画を立てるのがよいでしょう。
前述のとおり、予備校はSchweserが有名ですが、教科書の記述が淡々としていて、理解を深めると
いうよりは復習向きであり、初学者の場合、Schweserはあまりお勧めできません。レベル2では
Wileyのビデオ講義付きの講座を申し込みましたが、こちらは説明も詳しく、新しく学ぶ内容もきち
んと理解することができ、Schweserの同等のサービスと比較して、費用も少し安くなっています
。Schweserのビデオ講義は視聴したことないので直接比較はできませんが、個人的にはWileyのビ
デオ講義で特段不満はありません。加えて、Schweserが不合格時の再受講が条件付で50%のディス
カウントにとどまるのに対し、Wileyは無条件で合格まで継続して受講できるようです。唯一、問題
演習は出題範囲と出題数を指定して淡々と解くQBankのスタイルが個人的に合っていたので、レベ
ル2受験時はSchweser についてはQBankサービスのみ申し込みました。CFA試験は基本的に限ら
れた時間でいかに効率的良く勉強するかが重要なため、最低限スマホさえあればWeb上で問題演習
ができるQBankは電車等での移動中にも取り組めるという点からも重宝しました。
(Class of 2018 O.S.)