H.S. (官公庁)
1. はじめに(留学を目指した背景・理由)
国家公務員として4年間勤務した後、安全保障を中心とした国際関係について、大学院レベルの高度な知識を身に付けたいと考え、研修制度を利用して留学しました。
2. なぜフレッチャースクールを選んだのか
私は当初から、専門的な知識に加えて、安全保障・経済・文化など様々な面で深いつながりを持つ米国について、その考え方を学びたいという思いがあり、米国の大学院を念頭に志望先を検討しました。その中でもフレッチャースクールは、米軍のみならず各国の軍人の方々が多く在籍していること、安全保障、外交、軍事に関する幅広いコースが設けられていること、そして、その中でも特に関心のあった国際法についても、field of studyの一つとして選択可能であり、重点をおいて学ぶ機会が設けられていることが魅力的でした。
3. 受験対策
(1) 主なスケジュール
2015年
7月 TOEFL初受験(93点)
2016年
2月から9月まで TOEFL受験継続。最終スコアは100点
9月 推薦状のお願いと出願書類の作成に着手
10月 GRE受験(V 152, Q 170, AW 3.0)
11月以降 フレッチャースクール含めた複数校出願
12月 フレッチャースクール合格(これにより一部の大学院については出願取りやめ)
今振り返ってみれば、TOEFLのスコアメイクと並行して出願書類にも着手したかったのですが、当時は業務が多忙だったこともあり、そこまでの余裕がありませんでした。
(2) レジュメ / エッセー
エッセーについては、①自分のこれまでの経験、②フレッチャースクールにて学びたいこと、そして③フレッチャースクールでの学びを踏まえた将来のビジョンという3つの柱を中心に、担当していた業務について説明しつつ、将来、より高度な政策の企画立案に携わるに当たって高度な理論を学び、また、世界中の国際関係に関心をもつ学生と議論をして理解を深めたい、という内容で作成しました。また、これまでの経験のうち、エッセーに盛り込めなかった内容については、レジュメにてカバーするようにし、提出する書類全体として自分の経験や能力を表現できるようにしました。
(3) 推薦状
フレッチャースクールの場合、推薦状は3通必要となるため、職場の上司お一方と、大学時代のゼミでお世話になった恩師お二方にお願いをして書いていただきました。
(4) TOEFL
留学を希望した2015年始めの時点では、TOEICのスコアも700点程度と英語ができるとは言い難かったのですが、とにかく英語の成績を上げないことには始まらないので、まずはTOEFL90点台を目標、そして最終的には100点を目指し、公式問題集や洋書のTOEFL対策教材を使用して勉強を開始しました。本試験については、初回の2015年6月(93点)から、100点ちょうどを達成した2016年9月まで、合計9回受験しました。繰り返しの受験は精神的にも金銭的にも辛いものがありましたが、公式問題集での勉強のほか、リスニング対策にはインターネット上の英語の動画を視聴し、リーディング対策には英文の雑誌記事を読むなど、楽しみながら英語力を向上させることを目標に勉強を進めました。
(5) GRE / GMAT
TOEFLの目標スコア達成後、公式問題集にて軽く出題形式を確認し、2016年10月に1度だけ受験しました。Vに関してはTOEFLでは見たことのない語彙が求められましたが、その代わりに必要なスコアはそれほど高くないため、特段の対策はしていません。ただし、Qを語彙力不足で落とさないよう、数学関係の単語だけは確認しておきました。AWは今ひとつでしたが、あまり深く考えず、このスコアをそのまま提出することにしました。
4. 最後に(実際にフレッチャーに来ての印象、受験生へのメッセージ)
フレッチャースクールでは、期待していたとおりの刺激的な授業と、様々なバックグラウンドを持つ学生との交流の機会があり、新鮮な驚きの連続です。授業の予習復習だけでも手一杯というのが本音ですが、フレッチャースクールのみならず、ボストンでは様々な講演会やイベントが開かれているため、なるべく参加して教養を深めることができればと考えています。
私は安全保障と国際法を学ぶためにフレッチャースクールに入学しましたが、この他にも国際関係論の様々な側面を学ぶ授業が開講されており、どの分野に関心をお持ちの方にとっても素晴らしい経験になると思います。何かお手伝いできることがあれば遠慮なくご連絡ください!
K.A. (議会)
1. はじめに(留学を目指した背景・理由)
私の所属する組織には派遣留学制度があり、就職して以来、留学を希望し、上司との面談などの機会にも留学の希望を伝えておりました。留学を希望した理由は、一つは学生時代にも留学を希望していたこと(そのときは諸々の理由で断念しました)、そしてもう一つは、業務の中でさらに自分の能力を磨きたい(特に専門知識と英語)という気持ちが強くなったことです。幸運なことに、勤続6年目に派遣留学に内定し、その後、大学院受験を経て、7年目の現在、フレッチャースクールに留学しております。
2. なぜフレッチャースクールを選んだのか
私の留学前の直近の担当業務は、外交防衛分野の調査・研究でした。私の業務上の必要と学問上の関心は一致しており、国際関係の修士プログラム(特に、米国の外交・安全保障政策に強みを持つプログラム)に出願することはすぐ決まりました。具体的な大学選びで参考にしたのは、米国の外交政策の専門誌『フォーリンポリシー』のウェブサイトに掲載されている国際関係系大学のランキングと、著名な国際関係のプログラムを有する大学が加入する国際関係大学院協会(APSIA)の加盟校リストです。これらに掲載されている大学の修士プログラムのウェブサイトを見て、出願要項、カリキュラムや教員紹介などを調べ、志望校を決めました。また、留学経験のある知人に話を聞いたり、志望校が行うオンラインでの説明会にも参加したりしました。
3. 受験対策
(1) 主なスケジュール
2016年
4月末: 派遣留学の打診、第1回TOEFL受験
6月: 派遣留学内定
7月: レジュメ作成
8月: TOEFL97点(R:28 L:24 S:22 W:23)※出願スコア、エッセー及び推薦状の作成に着手
10月: 第1回GRE受験
11月: GRE (V:145 Q:165 AW:3.5)※出願スコア、フレッチャースクール出願
12月: UCサンディエゴ出願、フレッチャスクール合格
2017年
1月: ジョージワシントン大学・その他大学に出願、UCサンディエゴビデオ面接
2月: UCサンディエゴ合格
3月: ジョージワシントン大学合格、フレッチャースクールに進学決定
派遣留学への内定前に結婚式と海外旅行の予定を決めており、金銭的な余裕がなく、受験対策はほとんど独学でした(大手受験予備校AGOSの無料サービスには大変お世話になりました)。4月末に派遣留学の打診を受けてから11月上旬に出願準備が一段落するまで、平日は3-4時間、休日は6-8時間程度、出願準備に時間を使いました。
(2) レジュメ / エッセー
私の場合、学生時代の専攻と仕事の内容が出願するプログラムと関連するため、国際関係の分野における基礎的な知識があること、調査・研究に必要なスキルや経験を有していることをアピールしました。加えて、将来における自分のキャリア像(専門知識と語学能力を有したリサーチャー)を述べ、いかに出願するプログラムがその目標を達成するために適しているかを具体的にカリキュラムなどに言及しながら説明しました。エッセーの内容・英文表現のチェックは、まず何人かの友人に見てもらい、その後、オンラインのエッセー編集サービス(Essay Edge)を利用しました。
(3) 推薦状
1通目は大学・大学院のゼミの指導教授、2通目は職場上司、3通目は大学院時代に国際学生寮でお世話になった日本学生支援機構の理事(元教授)に書いていただきました。どのような専門・地位を持つ方に推薦者になってもらうかも重要ですが、推薦状の作成や出願の手続きなどで頻繁に連絡を取る必要がありますので、コミュニケーションが取りやすく、信頼できる方にお願いするのが良いと思われます。
(4) TOEFL
派遣留学に内定した時点で、私の英語能力はTOEIC800点程度でした。受験対策としては、主に過去問に取組みました。以下の教材で14回分の過去問があります。これを3回強こなしました。
-
TOEFL iBT Interactive Sampler (ETSのウェブサイトからダウンロードできる)
-
The Official Guide to the TOEFL Test, Fourth Edition(公式ガイド)
-
Official TOEFL iBT Tests Volume 1, Second Edition(公式問題集)
-
Official TOEFL iBT Tests, Volume 2(公式問題集)
その他、テイエス企画の『TOEFL TEST対策iBT英単語』、オンライン英会話、Web TOEFLのWritingコースなどに取組みましたが、スピーキングとライティングについては最後まで一貫した対策が取れず、スコアが伸ばせませんでした。
(5) GRE / GMAT
TOEFL対策に時間を取られ、実質的に10月から1か月ほどしか準備できませんでした。Verbal(V)は非常に難解なため、時間がない場合はQuantitative(Q)に対策を集中させるのが有効と思われます。Qの対策ではMagooshという会社が提供するテスト対策アプリを利用しました。解説がわかりやすく、また推定スコアの精度が高いです。Vについては、iknowというアプリを使い単語の勉強をしました。iknowは一般に流通している教材としては、恐らく日本語で提供されている唯一のGRE対策単語集(アプリ)と思われます。
4. 最後に(実際にフレッチャーに来ての印象、受験生へのメッセージ)
全ての大学の合否結果が出た後、フレッチャーに進学することを決めた理由は主に二つあります。一つは、他の国際関係・公共政策系大学院と比較して、実学よりも学術的な科目を重視していることです(政治・歴史系の科目が多く、卒業には論文作成が課される。プレゼンなどだけで論文作成を課さない大学院も多い)。もう一つは、フレッチャーがコミュニティづくりを重視していることです。こちらにきて、大学が学生同士、または学生と教員の交流を図るためのイベントを頻繁に開催したり、交流のための様々なツールを提供したり(SNSグループページ、メーリングリスト、学生紹介の冊子など)、授業でもグループワークが多かったりすることなどを実際に見て、フレッチャーのコミュニティの強さを実感しました(卒業生のネットワークは俗に「フレッチャーマフィア」と言われます)。これは、ほかの規模の大きな大学院や、個人主義で競争の激しい大学院には見られないフレッチャーの強みです。都会から離れてアカデミックな環境でじっくり勉強したい人(といってもボストンのダウンタウンには地下鉄ですぐに出られますし、ニューヨークも日帰りできる距離です)、他の学生や教員との密な交流を求める人に特にお勧めすることができる環境だと思います。
Y.M. (インフラ)
1. はじめに(留学を目指した背景・理由)
留学には2011年の入社当時からずっと興味を持っていました。ただ働いているだけでも業務固有のスキル、知識は身に付きます。しかし日常の枠を超えた、より大きな視点から業務や戦略を見直せるような力を身に付けるには、意識的に勉強して自分の思考の枠を抜け出さないといけない、そのためにどこかで集中的に勉強をして分野横断的に自分の仕事を考えることの出来る力を身に付けたい、という思いが強くなり、社内の留学派遣制度に申し込みました。
2. なぜフレッチャースクールを選んだのか
業務の中で、インフラ事業はただのビジネスではなく、多分に政治や経済政策の文脈が絡んでくることを感じました。そしてその海外展開となると、それは外交政策の文脈で語られます。そのような中で、フレッチャースクールMIBの提供する”Contextual Intelligence”というコンセプトはまさに私のニーズを満たすものでした。ビジネスのみでなく外交・政治や歴史・国際関係論などを統合的に学び、自分たちのビジネスのある文脈を理解する力を身に付けることが、大局的・長期的視点から事業を構築しなければならないインフラビジネスに大いに役立つと思い、フレッチャーに決めました。
3. 受験対策
(1) 主なスケジュール
2016年
3月 社内選考通過(TOEFL84点)、Andy先生の勉強会参加
6月 TOEFL107点(R30 L27 S22 W28)※出願スコア、GRE勉強開始
8月 レジュメ、エッセイアウトライン本格着手
9月 GRE V148 Q168 AWA3.5※出願スコア、推薦状執筆依頼
10月 エッセイアウトライン完了→各校エッセイ執筆、レジュメ、推薦状3通完了
ジョンズホプキンス大学SAIS出願(アーリー(早期出願))
11月 タフツ大学フレッチャースクール出願(アーリー)、
インディアナ大学MPA出願→月末に合格通知
12月 ジョージタウン大学MSFS出願、アメリカン大学SIS出願
フレッチャースクール合格通知
2017年
3月 SAIS、アメリカン大学SIS合格通知
ジョージタウン大学MSFS不合格通知→フレッチャースクール進学確定
(2) レジュメ / エッセー
ベースは江戸義塾を利用し、ここぞというときにエッセイエッジ(Essay Edge)でダブルチェック、校閲にはスクリベンディ(Scribendi)を使いました。出願プロセス全体で自分が伝えたいことは何なのか、それを裏付ける経験は何なのかを表に整理し、それらの要素をレジュメやエッセイに散りばめるようにしました。出願書類全体を読んだときに「この人はこんな人だ」という印象を持ってもらえることが大事かと思います。
また、文化の差かと思いますが、日本人はアメリカ人に比べて自分の経験を控えめに伝える傾向があるとこちらに来て感じました。ウソはいけませんが、自分のやったことは正当な評価をしてもらえるよう最大限魅力的に映るよう伝えることが有効かと思います。
(3) 推薦状
もちろん推薦状は最終的には推薦者が書くものですが、依頼をする際に自分はこんなことを売りに出願をしていて、こんなことをエッセイには書くつもりで、この学校はこんな学校です、などの方向性の共有をしておくと、効果的な推薦状が出来上がるかと思います。アーリーで出願するなら9月中には依頼をしておきたいところです。そのためにはそれまでに自分の出願書類の方向性がある程度固まっていることが必要です。手ぶらでお願いをしに行くことは、依頼先の方にとってもコストになるので、避けた方が良いと思います。
(4) TOEFL
私は社内合格まではゆるりと勉強をし、毎年1回受ける程度、社内合格時の最高スコアは84点でした。働きながらの受験は勉強時間の確保が課題です。社内合格後は毎日朝5時に起きて2時間程度勉強し、帰宅後も1時間は確保するよう努めました。(なかなか難しい日も多かったですが…)土日はなるべく予定を入れないようにして各日10時間を目標に勉強しました。
私の出願スコアは107点で、本格的に勉強を開始して3カ月で23点アップと、比較的上手くいった方かと思います。鍵は早い段階でAndy先生の勉強会に行ったことだと思います。(検索すればすぐ出ると思います)勉強法と解法を一日講座で伝授、良質な問題集も提供してくれます。
TOEFLLの点数向上は、浮気をせず良質な問題を正しい方法で大量に解くことが鍵だと思います。一番の鍵はLSW3セクションに絡むリスニングで、これにはTOEFLの問題を使ったシャドウイングが効果的だったように思います。アプリで1.3倍速にして行ったりしました。
リーディングで分からない単語が頻繁に出てくるようであればまず単語を鍛えることをお勧めします。有名な英単語3800をレベル3まで数回回せば、あとは問題演習で出てきたものを覚えるのが効率的かと思います。
(5) GRE / GMAT
基本ポリシーは「選択と集中」です。6月にTOEFLのスコアが出て、2か月単語をI know!というアプリでやりましたが、Verbalに関してはそれでも全く歯が立たず、ほとんど勘で解きました。勉強の費用対効果は非常に低いと思います。Quantitativeについてはアルク『新テスト対応版 大学院留学GREテスト 学習法と解法テクニック』で問題傾向をつかみ(数学単語集も有用でした)、Magooshというオンライン教材で問題演習をやりましたが、数学の比較的得意な日本人であれば数学セクションはさほど苦労しないと思います。Verbalに時間をかけず、いかに効率的に数学の点を取るかが鍵だと思います。作文はTOEFLでの対策に加え、ネット上でGRE用のテンプレを参考にした程度で特別な対策はしていません。
4. 最後に(実際にフレッチャーに来ての印象、受験生へのメッセージ)
執筆時点でフレッチャーでの最初の学期が終わろうとしています。恐ろしく時間の経過が早く、濃い4か月でした。フレッチャーの良いところは、充実したカリキュラムはもちろんのこと、適度な人数感だと思います。私の受けた受業は大体10~30人程度、教授も学生の名前を憶えてくれ、発言できる回数も大人数の授業に比べ多くなります。また、グループワークが中心の授業が多かったので初めは聞き取りに苦労し大変な面もありましたが、自分に相当なストレッチをかけることが出来ました。特にビジネス系の授業では、何百人も学生がいる通常のMBAに比べ、圧倒的に濃い密度で授業が受けられるように思います(教授陣も元は著名MBAで教えていた先生方ばかりで授業の質も十分に担保されています)。振り返ってみれば教授、学生、どちらからも大変多くのことを学べ、これはコミュニティが密なフレッチャーならではの特色ではないかと思います。
J.M. (官公庁)
1. はじめに(留学を目指した背景・理由)
私が勤めている省では一年間の英語での研修が認められていることから、必然的に留学することになりました。研修先はイギリスかアメリカを選べるのですが、私自身の専門言語が中国語であり、なおかつ日本外交は「太平洋の両岸関係」をにらみながら進めていかなければならないという自らの信念の下、太平洋のもう片方に位置するアメリカを知る必要があると考え、アメリカを研修先に選びました。
2. なぜフレッチャースクールを選んだのか
英語での研修は一年しか認められておらず、先輩方の中ではフェローという形でハーバードなどのノンディグリーのコースに行く人も多いです。しかし、将来の自らのバリューデザインも見据え、できればMaster Degreeをとりたいと考えました。そこで、自らのもう一つの専門分野である国際法についてMaster Degreeに相当するLL.M.をとりたいと考えました。このように「アメリカを知る」という縦軸と「国際法の見識を深める」という横軸の交差点がフレッチャーのLL.M.でした。
フレッチャーLL.M.は国際法を専門とした一年のプログラムであり、他大学のLL.M.に比べ、より国際法に専念できると考えました。また、フレッチャーでは法学の授業以外にも国際政治や国際経済の授業を受講することができ、法学にとどまらず様々な見識を深めることができると考えました。さらに、フレッチャーはハーバードとも互換プログラムを備えているので、必要に応じてハーバードの授業を受けられるのも魅力でした。
そして、何より、LL.M.プログラムの主任教授やスタッフの方の対応の丁寧さもフレッチャーを選んだ大きな理由になりました。私は特に海洋法を中心に研究したいと考えていました。そこで、実際に自分のやりたいテーマを研究できるかどうか、プログラムの主任教授に聞いたところ、親身になってアドバイスを下さりました。また、スタッフの方も申請や英語学習について相談にのってくださりました。そして、アーリーアプライ(早期出願)の期限を過ぎていたにもかかわらず、アーリーアプライとして申請書類を受け取ってくださり、合格を頂くことができました。他大学のノンディグリーのコースにも合格を頂いていましたが、このような対応のきめ細やかさからフレッチャーにいくことに決めました。
3. 受験対策
(1) 主なスケジュール
アメリカに来る前には中国で二年間生活しており、省の規定上帰国することはできなかったため、アプライの準備や試験対策はすべて中国で行いました。具体的には2月ごろからTOEFLを受け始め、8月から9月にかけて申請先を調べて決定し、10月から11月で申請書類を準備しました。
(2) レジュメ / エッセー
フレッチャーはサンプルエッセイを課しておらず、他の大学に比べ必要な書類が比較的少ないと思います。しかし、だからこそ、自らのCV及び字数の限られた2枚のショートエッセイの中で、いかに自らの経歴や考え・研究目標をアピールし、相手に関心を持ってもらえるような「密度の濃い」書類を作れるかが勝負になってきます。そのためには、自らを具体的にどのように「ブランドデザイン」するかがカギになると思います。私自身は自らの強みであり研究内容でもある国際法を前面に押し出す形で自らのブランドデザインを行いました。また、フレッチャーにアプライする前に、すでに研究内容をある程度具体化し、それがフレッチャーだからこそ学べること、それを研究することがどのように自らのキャリアに結びつくのかをCV及びショートエッセイの中で具体的に書くように心がけました。
(3) 推薦状
推薦状は、みずからがどういうバックグランドをもった人と交流してきたのか、ほかのCandidateよりも研究分野についてより強固なバックグランドを有していることを表現する書類であり、ブランドデザインの観点からとても重要になります。推薦状をお願いする人を選ぶに当たり、私は「一貫性」を重視しました。具体的には、自らに「日本及び中国の国際法に精通している」というイメージを付加するべく、日本のときに働いていた国際法関係の部署の上司、学部時代の恩師(国際法関係のゼミ)及び中国の大学で受講した国際法模擬裁判ゼミの教授に推薦状をお願いしました。特に、元上司と恩師はもちろん日本にいるところ、推薦状の作成は10月中にはお願いしました。
(4) TOEFL
これは多くの日本人学生にとって頭を悩ます問題ですが、私はさらに中国で受験しなければならず苦労しました。中国ではTOEFL受験を申請するウェブサイトがそもそも通常我々が日本で使っているものと異なり、受講者が大量にいることから頻繁にシステムダウンします。試験の予約も長期休暇時期や大学へのアプライの集中する時期は3か月後まですべて埋まっている状態であり、試験の席を確保するだけでもかなり精神力を使います。また、試験も通常の大学の大教室を使っており設備が良くなく、受験者全員一斉に試験を開始するなど日本と異なる文化に非常に驚きました。さらに、感覚的には中国のTOEFLの採点は非常に厳しく、中国に来る前に日本で受験した際の点数から10点近く落ちました。
この状況に衝撃を受け、またそもそもの英語力の足りなさを痛感したため、試験対策というより英語自体を伸ばすべく、6月からBerlitzに通いました。また、どうしても中国大陸の受験会場の雰囲気に合わなかったため、お金はかかりますが、できる限り香港で受験をするようにしました。そのおかげもあってか、秋には底の点数に比べ15点アップし、どうにか様にはなる点数をとることができました。
(5) GRE / GMAT
LL.M.はGRE及びGMATを出願の要件にしていません。ただ、私自身はGREを要件としている他大学の出願も検討していたところ、、GREも受験しました。GREは外国人に対しては実際にはあまり要件とされていないとも側聞していたことから、英語の試験勉強は、基本的にTOEFLに多くの時間を割くようにし、GREについては直前数週間で準備しました。具体的には、文法・単語問題はすべて捨て、数学の単語を覚え問題演習をし、読解問題も多少練習をして問題なれをするとともに、作文は添削を受けるようにしました。その結果、文法系の点数は惨憺たるものでしたが、上述のようにフレッチャーLL.M.はGREを要件としていなかったため、それほど気にしませんでした。
4. 最後に(実際にフレッチャーに来ての印象、受験生へのメッセージ)
フレッチャーは国際関係と外交の分野以外ではあまり有名ではないかもしれません。しかし、学生の質、研究のための環境、学べる内容はハーバードを始めとする他の大学とそん色ないと思います。私自身、ハーバード・ロースクールの授業をとり、ハーバードの学生との交流を通じて感じたのは、学習文化の違いでした。ハーバード・ロースクールは日本の大学の授業に少し似たところがあり、みな自立して自分自身を高めることにまい進しているという雰囲気でした。しかし、そこにはフレッチャーで普段感じるような「切磋琢磨」という雰囲気を感じることはありませんでした。「切磋琢磨」、これこそフレッチャーの最大の特徴であり強みであると思います。
例えば、フレッチャーLL.M.は、学生がわずか十数人の非常に小さなプログラムです。しかし、全員が、自らの専門分野及び関心をもった弁護士や外交官、研究職のバックグラウンの学生で構成されています。少人数ということもあり、普段から関係が非常に緊密であり、授業や議論を通じて関心をもったことについては、どんなことでも誰かその分野の専門家がいるというような状況です。そのため、自らの強みを他の学生に提供し、それを通じてさらに関心を深めるとともに、自分のあまり詳しくない分野について他の学生から新鮮な学びを得ることができています。フレッチャーにきて、他の学生との交流を通じて、「バリバリ」という音が聞こえるように自分の視野が広がっていくことを痛感しています。
切磋琢磨を通じ自分をさらなる高みにもっていきたいと考える方は、ぜひフレッチャーにいらっしゃることをお勧めします。
Y.T. (NGO、国際機関)
1. バックグラウンド
大学の法学部を卒業後、金融機関にて外国株機関投資家営業を1.5年、その後、8か月のブランク(旅行、語学勉強など)を経て、NGOで東日本大震災の支援を2.5年、東京事務所での勤務を経て、ネパールの地震支援、大学院進学直前は国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)にてインターンをしていました。
2. 留学を目指した理由
前提知識もなく飛び込んだ支援の世界で、どのように支援を効果的に行うのか、どのようにすればもっとよい支援をできるのか?を考えたくなったため、また高学歴化している支援の世界で、大学院の学位の取得は必要不可欠だと思ったためです。
3. なぜフレッチャースクールを選んだのか
フレッチャースクールは多くの大学とダブル学位の協定を結んでいます。私はフレッチャーとフランスのHEC Parisという大学のMBAとのダブル学位を取得する予定です(すでにフランスでの1年間の勉強を終了)。フレッチャーでは自分の必要にあった授業を柔軟に取れるため、必修授業の多いMBAとの親和性が高いと考え、また、国際機関やNGOの間でのフレッチャーの非常に高い評判、その業界で働く卒業生のネットワークを考え、このコンビネーションを選びました。
4. 受験対策のスケジュール
2014年
10月 GRE 勉強開始
2015年
2月 GRE受験
8月 TOEFL受験 (ネパールにて)
9月 大学の先生や上司に推薦状を依頼
10月 フレッチャー、HEC Paris同時出願
12月 合格結果発表(フレッチャー)
2016年
1月 合格結果発表(HEC Paris)
9月 HEC Paris 入学
2017年
6月 HEC Paris 修了
9月 フレッチャースクール 入学
5. レジュメ / エッセー
レジュメは他の大学院の受験をした大学時代の友人のフォーマットを参考、エッセーに関しては、どうしても自分で思いつかない問題に関してはインターネットで検索し、ヒントをもらいながら書きました。英語自体はあまり問題ないので、ネイティブチェックは行いませんでしたが、読んで意味がわかるもの何か、ロジックに穴がないかなどに関しては、バックグラウンドの違う友人ら10人程度にコメントをしてもらったりしました。
6. TOEFL
英語自体はあまり問題ないため、TOEFLはインターネットで見つけた参考問題を幾つかといて挑戦し、十分な点数が出たため、一回で終了しました。
7. GMAT/ GRE
フレッチャーとHEC Parisの両方に対してGREで出願(本来MBAはGMATが要求されるがGREでも受け入れ可能のプロブラムも)しました。GREは勉強時間やチャレンジの回数があまり読めなかったため、将来5年間のうちに進学するであろうと思い、早い時期から準備しました。10日のGREキャンプに参加し、その勢いで3ヶ月後に受験したところ、思いの外いい点数だったため、一回で終了しました。
8. 推薦状
職場からの推薦状は、直属ではありませんが一緒に働いていたアメリカ人の上司に依頼し、アカデミックの推薦状は大学時代の恩師2人に依頼しました。
9. サマースクール
語学のサマースクール以外にも、毎年夏にだけやっている授業などが少ないですがあったりします。入学前ですし、来年また取れると思い、参加しなかったものの、蓋を開けてみれば、次の年に教授がサバティカルを取るなどで授業を行わないことが発覚しました。私にとってかなり重要な授業だったので、苦い思いをしました。
10. 最後に
私を含め、大学院に来たらバラ色の道が開ける!と思って大学院に来がちですが、キャリア変更にしろ、語学スキルにしろ、来たら出来るようになる、というようにはなりません。大学院はたったの2年です(私の場合は2.5年)。その中で、必要な知識やスキルを身につけ、キャリアチェンジのための経験を身につけるのは非常に難しいです。もし目指す場所があるなら、大学院入学前からそれに取り組み、大学院入学後の飛躍に向けて準備をする必要があると思います。私自身も大学院入学前からフランス語と会計など基本スキルや、国連機関でのインターン経験などよく国連機関就職において必要とされる経験に取り組んだおかげで、現在は大学院でしか学べないことや経験できないことなどに集中できていると思います。
A.S. (官公庁)
1. はじめに(留学を目指した背景・理由)
2010年に入省して仕事を続けていく中で、留学への関心が高まっていきました。経済分析の業務において、博士・修士の学位を持つ上司との打ち合わせ等を通じて、体系的な思考の枠組を持つことの重要性を痛感しました。また、経済協力の業務において、日本で生まれ育った自分の価値判断に基づいて検討することの限界を感じるとともに、国内外のステークホルダー、フレームワークを念頭において政策を立案することの必要性を感じました。
2. なぜフレッチャースクールを選んだのか
授業選択の自由度、立地がフレッチャースクールを選んだ理由です。国際関係論に関する幅広い授業が提供されており、必修科目の数も限られているため、自分の興味・関心に基づいて授業を履修できます。例えば、ファイナンスの授業では開発金融機関の役割に関する議論が行われ、法律の授業ではその組織の位置付けに関する説明が行われるなど、多面的な理解を深めることができます。また、フレッチャースクールは1学年232人と小規模で学生間だけでなく教授との距離も近いですが、学術都市にあるため他の大学のセミナー等を含めると多様な学習、ネットワーキングの機会が得られます。自分の所属した日本の大学院の研究室で講師をされていた他大学の米国人の教授にたまたまお会いしてお話を伺うなど学術都市ならではの経験もしました。
3. 受験対策
(1) 主なスケジュール
2015年
12月 TOEFL80点。以後、月1ペースで受験。
2016年
3月 TOEFL89点。以後、伸び悩む。
7月 人事異動。以後、留学準備に割ける時間が減少。
9月 エッセーカウンセラーへの相談開始。
10月 レジュメ、エッセーアウトラインの執筆開始。
GRE(V146 Q167 AWA3.0)※出願スコア。
11月 推薦状執筆依頼。
12月 TOEFL93点(R27 L24 S20 W22)※出願スコア。
2017年
1月 フレッチャー(MALD)、SAIS(MA)、UCSD(MIA)出願。
3月 UCSD合格通知。フレッチャー合格通知、SAIS不合格通知。
→フレッチャー進学決定。
(2) レジュメ / エッセー
Ivy League Consultingのカウンセラーと相談しながら執筆しました。レジュメでこれまでの経歴を振り返り、骨格となるエッセーを仕上げた上で、文字制限等含めて各学校の出願書類に調整していくという方法でした。まず、大学院における自分の問題意識を明確にする必要があったので、プログラムとのミスマッチが防げたと思います。エッセー2は個人的な体験に関する内容だったので、大学・大学院における取り組みから現在の仕事を選定した背景を説明することにより、自分の強みを浮かび上がらせることを目指しました。
(3) 推薦状
職場の前上司・元上司、大学院の指導教官にお願いしました。レジュメ、エッセーアウトラインに取り掛かるタイミングが遅かったので、執筆の依頼も11月頃と直前になってしまいました。
(4) TOEFL
秋以降は出願書類の作成と同時並行でTOEFLを受験することになりましたが、結果が出ず、精神的には時間的にも厳しかったです。反省点としては、Web TOEFLのリスニング等を行いましたが、リスニングが全てのベースになるので、公式問題集等を通じて遅くとも春のうちにリスニングのベースを固めておく必要があると思います。
(5) GRE / GMAT
GREを受験しましたが、準備期間が2週間ほどしか取れなかったので最低限の基準突破が目標でした。試験の形式に慣れるため、アルクの『GREテスト 学習法と解法テクニック』で問題の解法を確認して、公式サイトにあるオンラインの練習問題を解きました。
4. 最後に(実際にフレッチャーに来ての印象、受験生へのメッセージ)
授業数は1学期当たり4つと少ないですが、予習・復習、課題、グループワークと盛り沢山で、プライベートな時間を考えると、1週間が8日あればと思いながら生活していました。学部レベルの法律、経済学の知識を前提としない授業でも、最終的には大学院レベルの理解が求められるので、授業について行くにはある程度の負荷を覚悟する必要があります。グループワークでは、個別の学生の知識、他の授業との兼ね合い等含めて、グループによってはある種の国際交渉の様相を呈します。こうした状況にありつつも、教授のオフィスアワーに行くと、ざっくばらんに相談に乗っていただくことができるので、恵まれた環境にあると思います。